Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Leggi 五瓣の椿 (ごべんのつばき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.721 caratteri · 296 schermate

Aozora Bunko

途中で雨が降りだし、気温も低くなり、寮へ着いたときには、あたりはもういちめんの雪景色であった。

冬になってから二度めであるが、その季節にしては珍らしく、形も量も多い牡丹雪で、門から寮の戸口さえ見えないくらいであった。

出て来たのはおまさであったが、おしのを見るなりひどく狼狽し、ちょっとお待ち下さい、と云って小走りに奥へ去った。奥のほうで三味線の音と、唄の声が聞えてい、おしのは構わずにあがって、そこで足袋をぬいだ。おまさは戻って来ると、あちらはいまちらかっていますからと云い、客用の八帖へとおした。

「いますぐに火を取ります」おまさはそわそわと敷物や火鉢を直しながら云った、「急にいやなものが降りだして、さぞ途中お寒かったでしょう、いまおかみさんもおいでになりますから」

「いいのよ、せかないでも」

「風邪ぎみでくさくさするからって」おまさは眩しそうな顔つきで云った、「ちょっといまなにしていらしったんですよ、いま火を取りますから」

三味線と唄の声はもう聞えなかった。おまさが火鉢に火を入れ、茶と菓子をはこんで来ると、まもなく母のおそのがあらわれた。年は三十五歳、大柄ではあるが躯の線が美しく、胸や腰などは娘のようにすんなりしている。