Classici giapponesi con furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Leggi 五瓣の椿 (ごべんのつばき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.721 caratteri · 296 schermate
母はそんなことには気もつかないようすで、それからずっと好きなようにくらして来た。あたしがいっしょでないことが、却って自由なようにさえみえたものだ、とおしのは思った。
「あんなに気やすく受け合って来るかしら」おしのは駕籠に揺られながら呟いた、「場合が場合だから来てくれるだろうけれど、もし来てくれなかったら、――こんどこそあたし云ってやるわ」
こんどこそ云うだけのことを云ってやる、とおしのは思った。
夜になると雪は雨になり、明くる朝はきれいに晴れていた。喜兵衛の病勢は変らず、食欲のないのが心配だったが、咳も少なくなり、熱もさがってゆくようであった。おそのは来なかった。約束の三十日は午後から待っていたが、夜になっても使いさえよこさなかった。
――やっぱりそうだったのね。
おしのはくやしさのあまり身がふるえた。すぐ自分で迎えにゆきたいと思ったが、年末の商家は多忙で、女中までが店の手伝いに追われ、おしの以外に父の世話をする手がないため、亀戸までいって来るような暇はまったくなかった。
大晦日の晩、十二時過ぎに、喜兵衛がまた喀血した。十時に店を閉め、番頭と手代たちが帳合にかかった。