Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Leggi 五瓣の椿 (ごべんのつばき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.721 caratteri · 296 schermate

Aozora Bunko

「では暮からどこへもいらっしゃらなかったんですか」

「おそのさんは江ノ島へいったんですって」とおとよのほうで訊き返した、「そんならきっと東蔵といっしょだわ、きっとそうよ」

「東蔵って、――どこの人でしょう」

「中村座の役者よ、あんた知らないの」とおとよは平気な顔で云った、「まだ名題になったばかりの若手だけれど、いまに売り出すだろうってたいそうな評判だし、いいひいき筋もずいぶんあるの」

ところが去年の顔見世から、おそのさんが熱をあげはじめ、殆んど独り占めにしていたそうだ、というところまで聞いて、おしのは逃げるようにいとまを告げた。

「あ、おしのちゃん」とうしろからおとよが云った、「詳しいことは桝屋の佐吉に訊くとわかってよ」

おしのは怒りと恥ずかしさとで、身がちぢむように思った。おとよの話す口ぶりと、その話の不潔ないやらしさとは、これまでかつて経験したことのないものであり、それが自分の母に関係していると思うと、激しい悪心におそわれ、いまにも嘔吐しそうになった。

だがどうしよう、父は死にかかっている。どんなにいやらしくけがらわしくとも、知らずにいる母をそのままにしてはおけない。