Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Leggi 五瓣の椿 (ごべんのつばき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.721 caratteri · 296 schermate

Aozora Bunko

することもできるんだ、ほんとだぜ」

終りの言葉がどなるような声だったので、向うから来た男がひょいと脇へよけたが、彼は気もつかずに、柳橋を渡っていった。

「ふん、仲次郎のほうが三味線は上だって云やあがったが、なにょう云やがる」彼は持っている折詰を振った、「世間にゃあ耳のねえ野郎がそろってるから、音締めひとつ聞き分けることもできやしねえ、みやあがれ、仲次郎はたちまちあのざまだ。なんだ、……なんのためにあの野郎のことなんぞ云いだすんだ、ちぇっ、よしゃあがれ縁起でもねえ」

「おれの云いてえのはそんなことじゃあねえ」彼はそれまで饒舌ったことを打ち消すように、ゆらゆらと首を振り、するとよろめいて、よろめいたまま道を斜めに歩きながら呟いた、「――おれは天下の岸沢蝶太夫だ、女にかけたって人にひけはとりゃあしねえ、おぼこから年増まで、娘、かみさん、後家、くろうとの差別なく、これと眼をつけておれのものにならなかった女は、一人もいなかった、こっちからもちかけるまでもねえ、捌ききれなくてげっぷの出るほど向うからもちかけて来た、それが、……あの娘、おりうに限ってこんなことになるなんて、へっ、初めて逢ってからもうすぐ一年にもなろうってのに、手を握ったのが今日が初めて、おまけにいまいましいのはこっちがのぼせてることだ」