Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Leggi 南国太平記 (なんごくたいへいき) di 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 493.291 caratteri · 991 schermate

Aozora Bunko

「いろいろ――」

それだけいうと、咽喉がつまってしまった。人目が無かったなら、せめて胸へでも縋ったなら、このいろいろの胸の中の思いが、夫の身体へ滲み込むだろうと思えた。四ツ本の無法な、冷酷な仕打ちさえ無かったなら、今夜は、ゆっくり名残を惜めたのにとも思った。そして、もう一言

「長々――」

と、いうと、涙声になった。八郎太も

「うむ」

と、いっただけであった。深雪は、門の柱へ袖を当てて、顔を埋めていた。綱手は、その片手を、しっかりと握って、片手で、母親の手を掴みながら、手を顫わして泣いていた。小太郎は、涙の浮んで来るのを、そのままに、雨空を見上げていた。暫くして、七瀬は

「御看護に不調法を仕りまして申訳もござりませぬ。この失策は、必ず、上方にて取戻して御覧に入れます」

「抜かるな」

「み、深雪を、何うか――」

「うむ――綱手、予々申付けある通り、命も、操も、御家のためには捨てるのじゃぞ。又、こと露見して、いかようの責苦に逢おうとも、かまえて白状するな。敵わぬ時は舌を噛め、隙があれば咽喉を突け」

「はい」

綱手の頬は涙に濡れていた。七瀬が

「深雪」

深雪は、振向かなかった。