Classici giapponesi con furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Leggi 南国太平記 (なんごくたいへいき) di 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 493.291 caratteri · 991 schermate
刀が滑った。
(不覚な)
と、思った時、襟を掴まれた。
「聞かれたか」
と、襖を開けて、脇差を腰から取りながら、袋持が、七瀬と、綱手とを見た。
「ええ?」
綱手が、母の旅立の脚絆を縫いながら
「何を?」
袋持は、床の間の刀掛へ、脇差を置いてあぐらになって
「牧氏の修法場へ、斬り込んだ者がおる」
二人は、身体を固くして、胸を打たせた。
「二三人の小人数で――」
「誰方?」
と、七瀬は云ったが、自分の声のようでなかった。
「さ、それが、殺されての」
「殺されて――」
綱手の顔色が、変った。手が、微かに顫えてきた。
「牧氏の一行は、そのまま、江戸へ立ったし、顔見知りはおらぬし――牧氏の方々も、七八人はやられたらしい。京の邸から知らせて来たが、余程の手利らしく、見事に斬ってあったそうじゃ。もう、御帰国かな」
袋持が、七瀬を見た。
「そろそろと――」
固い微笑をして
「そして、牧様は?」
「牧は、無事に、今申した如く、江戸へ参ったが――」
「御無事で――」
「ここの、御家老も、近日、江戸下りをなされるが――」
「調所様も?」
「大殿の御帰国までに、行かねばならぬ用があるのでのう」
二人は、調所のことを探りに来て、調所の人物に感心した上、今、江戸へ行かれては、誰にも、顔向けが出来ないように思えた。