Classici giapponesi con furigana
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たんどくこう
単独行
加藤 文太郎
Leggi 単独行 (たんどくこう) di 加藤 文太郎 (かとうぶんたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.799 caratteri · 222 schermate
随分と下ってきたようだが間違ったのだから引返さねばならない。だが今はあまりにひどい吹雪になっている。恐らく尾根の上は一層物凄いに違いない。それで一時ここで雪の止むのを待った方がよいに違いないと思って、風陰を探しながら歩いていると、また雪庇をふみはずし、こんどはまっさかさまに投げ出されてぞっとした。僅か二メートルぐらいのものであったがひどくこたえた。早速雪庇の下を掘って入る。
僕はこんどのスキー行は三月も終りに近いことだから大して雪は降らないだろうし、現在積っている雪もこれまでの経験から、昼間だけはザラメ雪となるが朝夕はカリカリの雪で、靴のまま歩いても楽に違いないと信じていた。だから国境尾根の縦走だって一日あれば充分だと思って、食糧として弁当を一日分と少ししか持たなかった。もちろん一日や二日は絶食しても歩ける自信はあった。しかしこの湿気の多い風と雪は、信州の山では完全な防水布の手袋や防寒具をわけなくしめらせて、肌着まで濡れてきた。手もそろそろ感覚が無くなり出したし、吹きつける雪が顔の表面を雨のようになって流れて、熱をうばうし、肌着が濡れているためか、背筋の方にゾッと寒さを感ずるようになってきた。