Classici giapponesi con furigana
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たんどくこう
単独行
加藤 文太郎
Leggi 単独行 (たんどくこう) di 加藤 文太郎 (かとうぶんたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.799 caratteri · 222 schermate
とつぶやきながら立っていたほどだから、恐らく情の強い人なのだろう。僕のことを心から心配しているようだった。こういう人は将来損だと僕は思う。なぜならこの人は情が強いために他人が危地へ陥るのを助けようとして自分の力の全部をなげ出し、やがて自分が危地に落ちて行くに違いない。少なくとも他人の苦しむのを気にしているあいだは、今の世の中ではとても成功はできまい。
御殿場の駅で見た富士山は僕の頭を圧して被いかぶさるようにつったった実に物凄い雪の壁だった。あの雪の壁が一度にどっと崩れてきたらどうしよう。どこにもかじりつけそうな岩尾根はないではないか。あんな凄い壁をどうして人は登るんだろう。せめて氷でもならアイス・ハーケンにものをいわせようが、あのような雪の壁など、どうして僕に登ることができよう。「やめようか」そう思ったけれど、せっかくここまでやってきたんだ。闘わずして退くなどはあまり残念だ。――そうだ。闘ってみよう。――全力をつくして闘った後なら頂上へ登れなくとも思い残すことはない。全力をつくして闘うところに価値があるのであって、頂上へ立つことのできるのはその副産物に過ぎないんだ。