Classici giapponesi con furigana
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かわいいやま
可愛い山
石川 欣一
Leggi 可愛い山 (かわいいやま) di 石川 欣一 (いしかわきんいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 98.791 caratteri · 196 schermate
この人も私同様、宵っぱりで朝寝坊だから、いかに山でも六時や七時には目をさまさぬ。私が早く起きたのも、実はお腹がいたかったからである。
昼間のままの服装で寝るのだから、起きるにしても手がかからない。上衣をひっかけ、素足に靴をはいて小舎を出る。小舎の前の、幅一尺ぐらいの流れで顔を洗う。口をゆすぐ。……と、誰でもやることを不思議そうにいうのには理由がある。我々は山に入ると、めったに顔を洗わないからである。
ぐずぐずしていると寒くなって来た。いそいで小舎にもぐり込み、白樺の太い枝を炉にくべる。ねころがって、さてすることがない。靴下を外して見ると乾いている。さるおがせのような油煙がついている。それを丁寧に払い落してはく。スウェッタアを着て、また戸外へ出る。
ふと見ると黒部川の向う岸に、人が二人立っている。一人は北沢で、もう一人は羽織を着た人である。二人は話をしながら上の方へ行く。籠渡しの所で立ちどまった。こちら岸の籠渡しまで行くには、大分広い雪を歩かねばならぬ。私は急いで靴の紐を結び直した。小舎の入口の、風呂桶の上においたピッケルを取りに戻った。
私がピッケルを取りに戻っている間に、向う岸の二人は籠渡しの針金に添うて目を走らせた。