Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じごくのししゃ

地獄の使者

海野 十三

Leggi 地獄の使者 (じごくのししゃ) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 75.419 caratteri · 152 schermate

Aozora Bunko

「全然存じませんもの。いくらお聞きになっても無駄です。あたくしはこのお部屋へお出入りすることは全然ございませんのですもの」

「それは確かですか。事件の当日、この部屋へ入ったことはありませんか」

「あたくしは誓って申します。あの日、この部屋へ入ったことはございませんです」

ヒステリックな声で、お末は叫んだ。

「しかしねえ、お末さん。この缶詰には、あなたの指紋がちゃんとついているのですよ」

「まあ、そんなことが、……そんなこと、信ぜられませんわ」

「あなたの指紋がついているかぎり、あなたはたしかにこの缶詰にさわったことがあるわけです。さあ思い出して下さい。どこであの缶を見たか、そしてさわったか……」

「……」

お末は唇をかんで、首をかしげて考えていた。

沈黙の数分が過ぎた。

「まだ思い出せませんか。あなたは、この缶詰が空き缶になっているときに見ましたか、それともまだ空いていないときに見ましたか」

「見ません。全然あたくしは見たことがないんですから、そんなこと知りません」

「あなたはこの缶詰を、亡くなったこの家の主人鶴彌氏のところへ届けたのじゃないのですか」

「そんなことは全然ありません」