Classici giapponesi con furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Leggi 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 104.139 caratteri · 208 schermate
浪曼主義者仙波子爵登場
門を出て振り返ると、山の手の大きい屋敷の悪い習慣で、此処にも標札がありません、が、四方の淋しさ、物の音、気分などで、番町辺りの大きい邸宅ということだけは解ります。
淋しい町を五、六歩行くと、後ろから、
ドーン
と板を叩くような声、脇の下に激しい痛みを覚えて、思わずよろめくと、
「野郎、くたばって了え」
横合から鋭い物で私の頭を打った者があります。私はそれっ切り気を喪ってしまいました。
浪曼主義者仙波子爵登場
何時間、或は何日経ったことでしょう。その次に私が眼を覚したのは、橋の下の筵の上でも、豪奢を極めた寝室の中でもなく、白ずくめの外科病院の特等病室の中でした。
「あッ、花枝さん」
私の顔を気遣わしそうに見守って居る若い娘は、紛れもなく美しい花枝だったことが、どんなに私を心強がらせたことでしょう。
「あら、お気が付きまして」
花枝の狂喜する声が、直ぐ附添看護婦に止められてしまいました。私の容態はまだ、精神の激動にも、物を言うことにも適しては居なかったのです。
それから二週間ばかり、長い長い保養の後、私は漸く長い話にも、精神の激動にも堪えるようになりました。