Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Leggi 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 104.139 caratteri · 208 schermate

Aozora Bunko

新奇談クラブ

第三の話の選手

奇怪、閨の若衆

第三の話の選手

「道具立てが奇抜だから話が奇抜だとは限りません。私の秘蔵の奇談は、前半だけ聞くと、あり来りの講釈種の如く平凡ですが、後半を聞くと、聊斎志異か剪灯新話にある、一番不思議な話よりも不思議な積りです。どうぞ、途中で――何んだつまらない――なんて仰しゃらずに、最後の一句までお聴きを願います」

第三の「話の選手」増田晋は、斯う言った調子で始めました。

「――娘心を捉えしは誰そ――という存分にロマンチックな標題を掲げて、私の話は、いきなり享保二年の早春、江戸神田橋外の舞台に移ります」

奇談クラブの集会室は、夢見るような微光の中に、春らしく更けて行きます。

奇怪、閨の若衆

桜子はふと眼を覚しました。

そんな場合によくある、襲われるような不快な心持などは微塵もなく、春雨の降り頻る朝、護持院の鐘の音に、淡い夢から揺り起される時のような、何んとも言えない甘美な心持で、薄眼を開いて、そっと四方を見廻したのです。

誰やら、其の辺に居る様子――。

多分小間使のお春でしょう。

桜子はそう思い乍ら、もう一度うとうとしかけましたが、夜の物が厚かったせいか、少し汗ばむような気がして、我にもあらず、双腕を浅く抜いて、絹夜具の上へ投げました。