Classici giapponesi con furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Leggi 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 104.139 caratteri · 208 schermate
仏像を背負って兇賊は逃げた
仏像を背負って兇賊は逃げた
目明しの三吉は、二本榎の正護院の裏門に突っ立って、もう二刻も金壺眼を光らせて居りました。
昨夜此の寺へ忍び込んだ盗賊が、物もあろうに、本尊の弥勒菩薩の立像を盗み出し、其の儘逃げ場を失って、寺内の何処かに隠れてしまったのです。
仔細あって、この盗賊の入るのは、寺の方でも予期したことで、それッと言うと手が廻った所為もあったでしょう。本尊の仏体は盗み出したものの、出口出口を堅められて、梁上の君子も全く袋の鼠になってしまったのでした。
表の入口は同じ目明しの権次が堅め、お勝手には寺男が二人で見張った上、本堂は同心の相沢半助が、寺の者や、近所の人達に手伝わせ、畳まであげて詮索をして居ります。これだけ徹底的にやられては、よしや忍術を知って居ても免れっこはありません。その頃世の中を騒がした「寺荒し」の怪賊も、今度こそは間違いもなく正体を現すだろう――と、十人が十人疑う者はありませんでした。
それは、享保三年の春、山門の山楼がホロホロと散り初めた頃の出来事。
「まだ捉まらねえのか、仕様がねえなア」
目明しの三吉、裏門の扉に凭れて、思わず欠伸を漏らしました。