Classici giapponesi con furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Leggi 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 104.139 caratteri · 208 schermate
エレベーターの前の明るい電灯の下で、三間とも距たって居ないところで見たのですから、疑い度くとも疑いようは無かったのです。
「まア、何うなすったのでしょう。私も今着いたばかりよ――」
成程見ると先刻の服装を其の儘、まだ手袋も帽子も取っては居ません。
「ホホホ、ホ、ホ、ホ、何うなさいまして? まあ、中へお入り下さいな、人に見られると変ですから、もう、十時半になりますワ」
歓迎するのか、帰って欲しいのか、聴きようによっては、何方にでも意味の採れる言葉を掛けられると、恋する者の弱味と言うものでしょうか。私は到頭この女一人のアパートに入り込んで、心行くまま足腰を延ばさなければ承知の出来ない心持になって居たのです。
「香川さんは今し方ビルディングの事務所へ行きはしなかったろうか」
私は中へ入って、粗末な長椅子の上へ並んで掛けると、第一番に斯う聞かなければなりませんでした。
「あら、何を仰しゃるんでしょう。私は有楽町から真っ直ぐに来て、いま此処へ入ったばかりじゃありませんか、何うかなすって?」
「いや、なに――」
私は爪を噛みました。此の不思議を何う解けば宜いのでしょう。