Classici giapponesi con furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.411 caratteri · 285 schermate
稀に僕が留守見舞に寄ると、これは旦那から預った植木だから、どうしてもこいつを枯らしちゃ成らんなんて……余程主人思いだネ」
正太も笑った。「叔父さん、ホラ、私がこの夏、岐阜の方へ行って、鵜飼の絵葉書を差上げましたろう。あの時、下すった御返事は、大事に取っといてあります」
「どんな返事を進げたっけネ」
「ホラ、私も長良川に随いて六七里下りましたと申上げました時に……あの暑い盛りに……こう夏草の香のする……」
「そうそう、木曾路を行くがごとしなんて、君から書いて寄したッけネ――是方の暑さが思いやられたッけ」
正太は深い、深い溜息を吐いた。
暮方に、三吉は東京へ向けて、夜汽車で発つことにした。叔父を見送ろうとして、正太は一緒にこの宿を出た。電車で名古屋の停車場まで乗った。時間はまだすこし早かった。正太は燈火の点き始めた停車場の前をあちこちと静かに歩いて、ふと思いついたように叔父に向って、
「貴方の許の叔母さんにしろ、吾家のやつにしろ、今が一番身体の盛んな時でしょう――」
見ても圧迫を感ずるという調子に、彼は言った。
間もなく三吉は新橋行の列車の中に入った。窓の外には、見送の切符を握った正太が立って、何もかも惨酷いほど身に浸るという様子をしていた。