Classici giapponesi con furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.411 caratteri · 285 schermate
三
姪が出して来て見せたものは、手紙と言っても、純白な紙の片にペンで細く書いた僅かな奥床しい文句であった。「君のように香の高い人に遭遇ったことは無い、これから君のことを白い百合の花と言おう」唯それだけの意味が認めてある。サッパリしたものだ。別に名前も書いて無いが、直樹の手だ。
「今までも兄さんでしたから、だから真実の兄さんになって頂いたの――それでおしまい」とお俊は言葉を添えた。
この「それでおしまい」が三吉を笑わせた。
正太でも、直樹でも娘達は同じように「兄さん」と呼んでいた。一方は従兄弟。一方は三吉が恩人の子息というだけで、親戚同様にしていたが、血統の関係は無かった。区別する為に正太兄さんとか、直樹兄さんとか言った。三吉も、その時に成って、いろいろ知らなかったことを知った。
三
実――お俊の父は、三吉とお雪とが夫婦に成ってから、始めて弟の家に来て見た。旧い小泉を相続したこの一番年長の兄が、暗い悲酸な月日を送ったのも、久しいものだ。彼が境涯の変り果てたことは、同じ地方の親しい「旦那衆」を見ても知れる。一緒に種々な事業を経営した直樹の父は、彼の留守中に亡くなった。