Classici giapponesi con furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.411 caratteri · 285 schermate
こんな調子で、あだかも繁華な街衢を歩く人が、右に往き、左に往きして、他を避けようとするように、実はなるべく弟に触るまい触るまいとしていた。彼は弟の手を執って過去の辛酸を語ろうともしなければ、留守中何程の迷惑を掛けたろうと、深くその事を詫びるでもなかった。唯、旧家の家長が目下の者に対するような風で、冷飯の三吉と向い合っていた。
金の話は余計に兄の矜持を傷けた。病身な宗蔵――三吉などが「宗さん、宗さん」と言っている兄――この人は今だに他所へ預けられていて、実が世話すべき家族の一人ではあるが、その方へも三吉には金を出させていた。種々余分な工面もさせた上に、復た兄は金策を命じに来た。
「実はNさんのところから、四十円ばかり借りた。いずれ三吉の方で返しますから、と言って、時に借りて来た。これは是非お前に造って貰わにゃ成らん」
当惑顔な弟が何か言おうとしたのを実は遮った。彼は細く書いた物を取出した。これだけの家具を四十円で引取ると思ってくれ、と言出した。それには、箪笥、膳、敷物、巻煙草入、その他徳利、盃洗などとしてあった。
「頼む」
と兄は無理にも承諾させて、そこそこに弟の家を出た。