Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ならしげざっぴつ

小出楢重随筆集

小出 楢重

Leggi 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) di 小出 楢重 (こいでならしげ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.351 caratteri · 657 schermate

Aozora Bunko

ところで私はちょっと空を眺めて見た、この世の空かあるいは最早冥土の空かを確めるために。すると、頭の上には大きな馴染の杉の木が見えたからまだ死んではいない事だけはわかった。

誰かいないかと思って周囲を眺めると半丁ばかりの先きに道路を修繕している人夫がいたのでともかく「私は今死にかかっています、早く来て下さい」と二度叫んで見た、するとその男たちはちょっとこちらを眺めたがまた道路を掘出すのであった、私は随分他人というものは水臭いものだ、死ぬといえば何はさて置き飛んで来てもいいはずのものだと思ってイライラした、私はもう一度「早く来てくれ、私は死ぬ」と叫んだ、勿論さような大声が出るからには、すぐ死にそうには見えなかったことだろうと思う。

人夫の監督が何か指図するとすぐ二人の男が駆けてくれた、そして私は助けられて、宿である処の江戸三の座敷へ運ばれた、同宿の日本画家M君は私の冷え切った手足を夜通し自分の手で温めてくれた、私はその親切を一生忘れ得ない。

以来私は絵の道具を担いで坂路を登ることを大変厭がるようになった、坂路を見ると目がくらむ心地が今もなおするのである。