Classici giapponesi con furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Leggi 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) di 小出 楢重 (こいでならしげ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.351 caratteri · 657 schermate
蜘蛛
蜘蛛
むしがすかぬという言葉がある。何もそんなに厭がる必要のないものでもどうもむしがすかぬとなると堪らなく厭になるもので、またむしがすくと、変なものにでも妙に愛着を覚えるものだ。
恋愛などでもそうだ、男は必ず日本一の美人に恋するとは限らない、よそから見ると、何んだ、あんなもの、どこがいいのかと思うがその当事者にとってはとてもなかなか大したもので、おお谷間の姫百合よ、野の花よあなたなしに一日もとか、全く変な讃辞を封筒へ収めて書き送っているから全くむしは厄介だ、たべものなどもむしが大に関係するし、美術家の喧嘩などは大抵この虫から起るようである。
さてまたこのむしが、本物の虫を嫌うことがある。誰れにでもよくあることだ、私は百足が厭だとか蛇が大嫌いとか、なめくじが嫌だとか毛むしあるいはいもむし、といろいろある、これも、よく考えて見ると何も毛虫やいも虫が、人間を食い殺すものでもなし、安全なものであるが、腹の虫が厭がると全く身の毛がよ立つものなのだ。
私は子供の時から、蜘蛛が大嫌いで、大人となった今もなお、蜘蛛をおそれる程度においては、子供の時代と少しの変化もない、これはおそらく、私にとっては一生涯の苦の種であろう。