Classici giapponesi con furigana
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やまをおもう
山を思う
石川 欣一
Leggi 山を思う (やまをおもう) di 石川 欣一 (いしかわきんいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 79.814 caratteri · 157 schermate
猿ガ京から法師温泉までの路は、いさゝか良好でない。その代り景色はいゝ。
われわれの乗ったフオードは、山の中腹を、右に曲り左に折れて進んだ。右は山で左は谷。所々谷の方が赤く崩れていたり、また坂になっていてその最低部に路と直角に欄干の無い橋がかゝっていたりした。
運転手は馴れているので、話をしながらハンドルをあやつる。「こないだ東京のお客が来てさ、こわくなって了って、賃銀を倍出すから下してくれといったよ。」
川が細くなり谷が浅くなる。お仕舞には川と路とが同じレヴェルになり、突然急な丘を登って下りると杉の林、くすぶった家が二軒。そして小雨の法師温泉。
温泉めぐりをして歩く年頃でもないが、割に旅をしているので、各地の温泉を知っている。だが、今迄のところ、一番気に入ったのはこの法師温泉である。
赤谷川の景色はいゝ。が、法師温泉まで来ると、水源に近いので、ハイネの所謂「後向きにでも飛び越せる」位の川になって了って、一向面白味はない。眺望といっても別に何もない。食物は山の中、勿論何といって御馳走がある筈はない。然らば何が気に入ったか。
法師温泉の宿は長寿館というのがたった一軒だが、これが三軒から出来ている。