Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

Leggi 山彦乙女 (やまびこおとめ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.360 caratteri · 251 schermate

Aozora Bunko

五

「これはだめだ、出て貰おう」こう囁くと、主馬は笑って、「ばかなことを云っちゃいけない、ただの垢掻き女じゃないか、子供みたようなことを云うと笑われるぞ」

女たちはすべて無言で、二人の髷を解き、汗が出てくると、その柔らかい手で、全身の皮膚を巧みに擦りながら、垢を揉みおとした。垢掻き、とはよくいったもので、擦るにしたがっていくらでも垢がよれる、そのうえ、よほど力をいれるのだろう、彼女たちのあらい息づかいが聞えるし、湯気に熱した若い躰臭や、香油の匂いが、風呂舎いっぱいにこもるようで、半之助は少なからず閉口した。

「今日は静かだね」

主馬は平気で、自分の掛りの女に、そんなことを話しかけた。

「丸茂の爺さんは来ているのか」

「はい、いらしってます」

「神田橋のほかに、客は誰だ」

「わたくしの存じあげない方でございます」

「四五人いるらしいな」

女はそれには答えなかった。主馬はおしまいに、すばやく囁いた。

「あとであの部屋を頼むよ」

女はそっと頷いた。

五

風呂から出て、髪を結び、浴衣を着せられて、座敷へ戻るとまもなく、べつの女中が三人で、酒と肴をはこんで来た。

「また酒か」

「まあやってごらんなさい、酒にはちがいないが、ちょっと手にはいらないやつだ」