Classici giapponesi con furigana
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やまうらきよまろ
山浦清麿
吉川 英治
Leggi 山浦清麿 (やまうらきよまろ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.573 caratteri · 91 schermate
刀鍛冶と――』
彼は、ふと、
『止そうか』
と、嘆息ついた。
そう思うと、一歩もあるけなかった。道ばたの草叢へ、どっかり腰をくだいてしまう。
うつろな眼で、雲を見ていた。――と、母の顔が思い出された。兄の姿、妻の窶れ、子の泣く声。
『――ああ、解らなくなった。象山先生も、何とか云った。日本は今、うごいている。行く手には、国難が横たわっている。――そんな意味だった。何だか、おれの身を云われたような気がしたが』
いくら雲を見つめていても、彼には、時勢が映らなかった。日本の土の上に享けた生命である以上、その身自体が、一つの小さな国体であり、国の迷い国の悩みと共に在ることを――その時まだ、彼のうつろな頭には自覚できなかった。
『もしもし、間違ったら御めんなすって』
と、彼方から急ぎ足に来た足ごしらえのよい町人が、ひょいと、疲れた彼の顔の前で、足を止めた。
『もしや貴方様は、山浦内蔵助さまと仰っしゃいませんでしょうか。てまえは、松代の飛脚でございますが』
『え、飛脚屋。――いかにもわしは、山浦だが』
『柘植嘉兵衛様からの御手紙でござりまする』
『おお、嘉兵衛どのから、追いかけの御返事か』