Classici giapponesi con furigana
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やまうらきよまろ
山浦清麿
吉川 英治
Leggi 山浦清麿 (やまうらきよまろ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.573 caratteri · 91 schermate
四
夜半も、鞴が唸り、鉄敷の響きが洩れ、冬の月へ、凍て返った。
幾日も、幾夜もつづいた。
帰るにも帰られず――お次は母屋にいて、そこへ、握り飯を運んだり、表へ来る借金取りの云い訳に、手をついていたりした。
『もしえ? ……ちょっと伺いますが』
と、小粋な中年増が、門を覗いて云った。
『こちらは、山浦清麿さんのお住居ですってね』
『ええ、そうです』
『あなたは、御新造さんですかえ?』
女の眼は、妙に鋭く燃えているので、お次はすこし脅えながら、
『いいえ……』と、答えると、
『ホホホホ。そうでしょうねえ。此の家に、他に御新造様などがいてたまるもんじゃないからね。どこに居るんです環さんは』
『環さん? ……そんなお方は』
『いえさ、今の清麿さんの昔名前さ。わたしゃあ、あの人に、用があるんです。ちょっと、そう云って下さいよ』
『今は、お取次ぎができませぬ』
『どうしてさ』
『叱られます』
『いいから、そう云ってお出でなさい。別所のお寿々が来ましたといえば、何を打ッちゃっても、飛んで出て来なけれやあならない義理合いがあるんだから』
『……でも、それは、御無理でございましょう。会わないと仰っしゃっている時は、誰方が、何といおうが』