Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ほうろうき(しょしゅつ)

放浪記(初出)

林 芙美子

Leggi 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 103.349 caratteri · 207 schermate

Aozora Bunko

その音はワアン ワアン

島いっぱいに吠えていた。

ド……ド……ド……

青いペンキ塗りの通用門が群れた肩に押されると

敏活なカメレオン達は

職工達の血と油で色どられた清算簿をかゝえて

雪夜の狐のようにヒョイヒョイ

ランチへ飛び乗って行ってしまう。

表情の歪んだ固い職工達の顔から

怒りの涙がほとばしって

プチプチ音をたてゝいるではないか

逃げたランチは

投網のように拡がった○○の船に横切られてしまうと

さても

此小さな島の群れた職工達と逃げたランチの間は

只一筋の白い水煙に消されてしまう。

歯を噛み額を地にすりつけても

空は――

昨日も今日も変りのない

平凡な雲の流れだ

そこで!

頭のもげそうな狂人になった職工達は

波に呼びかけ海に吠え

ドックの破船の中に渦をまいて雪崩ていった。

潮鳴りの音を聞いたか!

遠い波の叫喚を聞いたか!

旗を振れッ!

うんと空高く旗を振れッ

元気な若者達が

キンキラ光った肌をさらして

カラヽ カラヽ カラヽ

破れた赤い帆の帆縄を力いっぱい引きしぼると

海水止めの関を喰い破って

朱船は風の唸る海へ出た!

それ旗を振れッ

○○歌を唄えッ

朽ちてはいるが

元気に風をいっぱい孕んだ朱帆は

白いしぶきを蹴って海へ!