Classici giapponesi con furigana
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ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
Leggi 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 103.349 caratteri · 207 schermate
濁り酒
――女給入用――のビラの出ていそうなカフェーを次から次へ野良犬のように尋ねて……只食う為に、何よりもかによりも私の胃の腑は何か固形物を慾しがっていた。
あゝどんなにしても食わなければならない。街中が美味そうな食物じゃあないか!
明日は雨かも知れない。重たい風が漂々と吹く度に、昂奮した私の鼻穴に、すがすがしい秋の果実店からあんなに芳烈な匂いがする。――一九二八・九――
濁り酒
十月×日
焼栗の声がなつかしい頃になった。
廓を流して行く焼栗のにぶい声を聞いていると、ほろほろと淋しくなって暗い部屋の中に、私はしょんぼりじっと窓を見ていた。
私は小さい時から、冬になりかけると、よく歯が痛んだ。
まだ母親に甘えている時は、畳に転々泣き叫び、ビタビタの梅干を顔一杯塗って貰っては、しゃっくりをして泣いていた私だった。
だが、ようやく人生も半ば近くに達し、旅の空の、こうした佗しいカフェーの二階に、歯を病んで寝ていると、じき故郷の野や山や海や、別れた人達の顔を思出す。
水っぽい瞳を向けてお話をするのゝ様は、歪んだ窓外の漂々としたお月様ばかり……。
「まだ痛む……。」