Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ほうろうき(しょしゅつ)

放浪記(初出)

林 芙美子

Leggi 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 103.349 caratteri · 207 schermate

Aozora Bunko

「ゆみちゃん! どこへ行っても音信頂戴よ。」

由ちゃんが涙っぽく私へ――えゝ何でもかでも夢の様に――ね。

「そんなほん面白い?」

「うん、ちっとも。」

「私、高橋おでん好きだわ。」

「こんなほん読むと、生きる事が憂鬱なるきりよ。」

八月×日

他のカフェーでもさがそうかな。

まるでアヘンでも吸っているように、ずるずると此仕事に溺れて行く事が悲しい。

毎日雨が降る。

午後二時。

ボンヤリして、カウンターのそばの鏡で、髪をなでつけていると、立ちうりの万年筆のテキヤが、二人飛び込んで来る。

「あゝ俺アびっくりしたぜ、クリヤマ(巡査)がカマる(来る)からゴイ(逃げる)ろて、梅の野郎が云うんで、お前をつゝいたんだよ。」

二人は泥のついた万年筆を風呂敷にしまいながら、

「姉さん! 支那そば並のを二丁くんな。」

鏡にすかして、雨が針のようにふっている。私は九州の長崎の思い出に、唐津物を売っていた頃、よく父が巡査になぐられたのを思い出した。

――こゝに吾等は芸術の二ツの道、二ツの理解を見出す。人間がいかなる道によって進むか、夢想! 美の小さなオアシスの探求の道によってか、それとも能動的な創造の道によってかは、勿論、一部分理想の高さに関係する。