Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.353 caratteri · 371 schermate
、遂に世を辞し去らねばならなかった自分自身の――後の相にもそのままであるなどとも――もとより若い彼は空想もしなかった。
彼の頭は今、
「どうしたら半兵衛重治を、味方にすることができるか」
しか考えていない。
つい、そう考えるが、また、
「いやいや、策士に策をもって当るなど、下の下策。白紙になって会うにかぎる。虚心坦懐、ただ自分のこの一生懸命だけを云ってみよう」
と、肚を持ち直すのだった。
ところが肝腎な半兵衛の住居がまだ知れない。いずれ侘しき草庵だろうが、陽の暮れるまで見当らなかった。藤吉郎もまた、急がなかった。暗くなれば自然、燈火がどこかに灯ろう。徒らに歩いて方角を過つよりもその方が楽で早いというもの。そう思っているらしい。とっぷり暮れるまで、岩根に腰かけて休んでいた。
やがて一つの沢窪を隔てた彼方に、ポチと灯が見当った。うねうねと登り下りする細道を辿って、ようやくそこに行きついた。
赤松にかこまれた中腹の平地である。破れ垣の一草庵と思いきや、粗末な荒土ながら土塀がひろく繞らしてある。近づけば、燈火も点々、三つ四つは奥のほうに見える。
案内を乞わなくても、塀はあるが厳めしい門扉などはない。