Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.353 caratteri · 371 schermate
「叱。お帰り」
と、犬か猫でも追うように、良人にかくして、帰れということばかり責めていたものである。
猫といえば――
日吉が、茶わん屋を出されて、藪山のやしきへ、叔母を頼って行った日、猫が飯をたべているのを眺めて、沁々、羨ましく眺めながら、自分の空腹には、一椀の冷飯も与えられないのを、天地に喞ったこともある。
考えれば、それから二十年。――渺茫と長かった気もするし、わずか二十年――という気もする。
いずれにせよ、なつかしい人ではあった。猫の飯のことなど、すぐ思い出されはしても、何らの怨恨などではない。むしろ、恩を謝したい。
「…………」
藤吉郎は、じっと、その人を見ているうち、眼に熱いものがあふれてきた。――母とは最も近い肉親である。妹である。母はひそかに、不遇なこの妹の身をも、常々案じていたろうに、いまだかつて、自分に何もいったことがない。自分に対して、気がねをしておいでになったものとみえる。
「寧子」
「はい」
「わしが幼い時、たくさん可愛がっていただいた叔母御だ。なぜ、あんな片隅に、おかまいせずにおくか。お褥を、こちらへ移せ」
「幾たびも、おすすめ申しあげましたが、固くご遠慮遊ばしていらっしゃいます。