Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にほんばし

日本橋

泉 鏡花

Leggi 日本橋 (にほんばし) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 88.697 caratteri · 177 schermate

Aozora Bunko

やっぱり、勝手に拝借ものを、垂々と見せた立膝で、長火鉢の前にさしむかいになった形を、世に有るものとも思わなかった、地獄の絵かと視めながら、涙の暗闇のみだれ髪、はらはらとかかる白い手の、掴んだ拳に俯伏せに、魂は枕を離れたのである。

が、姿は雨に、月の朧に、水髪の横櫛、頸白く、水色の蹴出し、蓮葉に捌く裾に揺れて、蒼白く燃える中に、いつも素足の吾妻下駄。うしろ向になって露地口を、カラカラと踏んで、五つばかり聞えてフッと消える。

も一度からからと響くと思うと、若菜家の格子のカタンと開く音。

極って、同じ姿が、うしろ向きに露地口へ立って、すいと入ると途中で消えて、あとは下駄の音ばかりして格子が鳴る。

勿論、開いたでもなければ、誰も居ない。……これを見たもの、聞いたもの。

やがて風説も遠退いて、若菜家は格子先のその空地に生える小草に名をのみ留めたが、二階づくりの意気に出来て、ただの住居には割に手広い。……ここで、一度待合になった処、開店の晩に、酔って裏二階から庇合へ落ちて、黒塀の忍返しにぶら下って、半死半生に大怪我をした客があって、すぐに寂れて、間もなく行方知れずそれは引越す。