Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
にほんばし
日本橋
泉 鏡花
Leggi 日本橋 (にほんばし) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 88.697 caratteri · 177 schermate
十七
この眩暈と、風邪と、も一つ、用達と云う断りが出る、と箱三の札は、裏返らないでも、電話口の女中が矢継早の弓弦を切って、断念めて降参する。
座敷で口惜がるもの曰く、
「旦那が来ているのだろう。」
勿論である。
時に説を為すものあり。
「そのくらいなら商売を止めれば可い。」
難じ得て妙だと思うと、たちまち本調子の声がして、
「芸者が好きな旦那でしょうよ。」
一言簡潔にして更に妙で、座客ぐうの音も出ず愕然としてこれを見れば、蓋し三味線が、割前の一座を笑ったのである。
そうまで我儘が通る癖に、附合が綺麗で、朋輩に深切で、内気で、謙遜で、もの優しい。おくれた座敷は、若い妓の背後に控えて、動く処は前へ立って目立たないように取り廻す、というのであるから、お茶屋の蔵の前に目の光る古狸から、新道の塒を巣立ちの雛児まで、
「ああ、いい姉さん。」
とのっけに云う。……続いて頭を振る所科ありと知るべし。少いもの慌てまい。その頭を振る事たるや、今のは嘘だと云う打消しではない。
十七
向うへ対手に廻しては、三味線の長刀、扇子の小太刀、立向う敵手の無い、芳町育ちの、一歩を譲るまい、後を取るまい、稲葉家のお孝が、清葉ばかりを当の敵に、引くまい、退くまい、と気を揉んで、負けじとするだけ、かねてこなたが弱身なのであった。