Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やなぎばしものがたり

柳橋物語

山本 周五郎

Leggi 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 104.300 caratteri · 202 schermate

Aozora Bunko

れてがさがさした声、――どの一つを取っても昔のおもかげはない、おもんであることは慥かだが、しかしそれはもう決しておもんではなかった。なつかしいという気持は一瞬に消えて、おせんはそのまま逃げだしたくなった。

「あたしの家もきれいに灰になったよ、感心するくらいきれいさっぱりさ」おもんはひとごとのようにこう云った、「――おっ母さんと小僧が焼け死んじゃった、面白いもんだね、人間なんて、お酒もろくに飲まなかったお父つぁんが、いまじゃあ酔っぱらって泥溝の中で寝るし、さもなきゃ番太の木戸へ縛りつけられてるわ、そしてこれもまんざら悪くはねえなんて、……あんた御亭主をもったの」

「いいえ、この子はそうじゃないの、あたしひとりだわ」

「どうだかね」おもんは不遠慮にこちらを眺めまわした、「あんた楽じゃないらしいね、ふん、この不景気じゃ誰だって堪らないから、飢死をしないのがめっけものさ、いまどこにいるの」

「平右衛門町の中通りにいるわ」

「変ったわねあんた」もういちどじろじろ見まわしておもんは激しく咳いた、「――なにか困ることがあったらおいでよ、あたしお閻魔さまのすぐ裏にいるからね、もしなんなら少しお小遣をあげようか」