Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やなぎばしものがたり

柳橋物語

山本 周五郎

Leggi 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 104.300 caratteri · 202 schermate

Aozora Bunko

庄吉はあのように自分を想っていて呉れた。近いところにいたらすぐ駆けつけて、どんなにもちからになって呉れるだろう、だが大阪では知らせてやることもできず、知らせたところで来て貰うわけにもいかない。おせんにはそれが、自分の運命を暗示するもののように感じられた。自分がふしあわせな生れつきで、これからもだんだん不幸になり、いつも泣いたり苦しんだりしながら、寂しいはかない一生をおくるのだ、そういう風に思えてならなかった。……そうだ。十八になる今日まで、ほんとうに楽しいと思うことが一度でもあったろうか、いつもしんと病床に寝ていた母、むっつりとふきげんな眼をして溜息ばかりついていた父、客の少ない、がらんとした埃っぽい店、張もなく明日への希望もなく、ただその日その日の窮乏に追われていた生活、父母に死なれて中通りへ移って来てからも、祖父と二人の暮しは苦しかった、同い年のよその娘たちが、人形あそびや毬つきに興じているとき、おせんは米を洗い釜戸の火を焚いた、朝早くまだ暗いうちに豆腐屋へ走り、雨に濡れながら、研ぎ物を届けにいった。幼いころ杉田屋でして貰ったきり、着物や帯はもちろん簪ひとつ新しく買ったことはない、然もそんなことを考えるいとまもないほど、時間のないつましい生活を続けて来たのだ。