Classici giapponesi con furigana
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やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
Leggi 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 104.300 caratteri · 202 schermate
「どうも有難う、そうするわおばさん」
「いざとなったらお祖父さんはうちが負ってゆかあね、それは心配はいらないからね」
おらくが去るとすぐ、おせんは手早く着替えをし、すぐ要ると思える物を集めて包を拵えた。江戸には火事が多いので、ふだんから心の用意はできている、荷物はできるだけ少なくとか、米はどんなにしても二日分くらい持つとか、飯椀に箸は欠かせないとか、切傷、火傷、毒消し薬などを忘れるなとか、みんな常づね口伝のように戒め合い、いざというときまごつかないだけの手順はつけてあるのだった。……包が出来ると、お祖父さんに起きて貰い、布子を二枚重ねた上から綿入半纏をさらに二枚着せ、頭巾を冠らせた。このあいだにも表の人ごえは段だん高くなり、手荒く雨戸を繰る音や、荷車を曳きだすけたたましい響きが起こったりした。
「もう支度はできたかえ」おらくがそう云って入って来た、「……慌てなくってもいいんだよ、また少し風が変って、火先が西へ向ってるからね、こっちはたぶん大丈夫だろうって、うちじゃあいま馬喰町のおとくいへ見舞いに出ていったよ」
「でもさっきよりかがりが大きくなったようじゃないの、おばさん」