Classici giapponesi con furigana
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やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
Leggi 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 104.300 caratteri · 202 schermate
「待っているって」
おせんは声がふるえた、「……あたし、庄さん」
「そうなんだ、きょうまで口ではなんにも云わなかったけれど、おれがおせんちゃんをどう思っていたかということはわかっていて呉れた筈だ、おそくとも五年、帰って来れば頭梁の株を買って、きっとおまえを仕合せにしてみせる、おせんちゃん、それまでお嫁にゆかないで待っていて呉れるか」
「待っているわ」おせんはからだじゅうが火のように熱くなった。そして殆んど自分ではなにを云うのかわからずにこう答えた、「……ええ待っているわ、庄さん」
「ああ」庄吉はいっそう蒼くなった。「……有難うおせんちゃん、おかげで江戸を立つにもはりあいがある、そしてその返辞を聞いたから云うが、実は幸太もおせんちゃんを欲しがっているんだ、喧嘩のもとは詰りそれなんだ、だからおれがいなくなれば、きっと幸太はおまえに云い寄るだろう、そいつは今から眼に見えている、だがおれはこれっぽっちも心配なんかしやあしない、おせんちゃんはおれを待っていて呉れるんだ、どんなことがあっても、そう思っていていいな、おせんちゃん」
そのときおせんは譬えようもなく複雑な多くの感情を経験した。