Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate

Aozora Bunko

ある疑いがふと宇治の心を影のようによぎった。血管の浮いた濁った眼で宇治はじっと高城を見つめていた。高城は表情を変えないまま自然に宇治を見返した。

「――よし」

それは声になっては出なかったが、そう言う気持で宇治は肩を張るようにして歩き出した。二分間ほど歩くと突然道が切れた。嘘のように明るい日光が天から落ちて来た。密林がそこだけ引き抜いたように開けていた。

宇治は昔、耶馬渓を見たことがある。あの耶馬渓を構成する岩に似た岩群のたたずまいであった。宇治の居る所から眺めると、丁度円形劇場に似た風で、すりばちのように八方から斜面が切れ込んでいる。崖は段々になっていて、中途に引っかかるようにして点々とニッパ小屋があった。底の部分には簡単服に似た服装の女たちが沢山動いていた。歌声は其処から起るのである。崖を危く伝って兵達が登って来るのも見えた。

「あれが、司令部です」

崖の中途の、他のよりもやや大きい小屋を高城は指さした。中空に棒を突き出し、白い襯衣などが乾してあった。斜面がもつ幻惑で距離が定め難いが、それでも呼べば聞えるほどの近さである。径はすりばちの上縁をはしっていた。