Classici giapponesi con furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate
二十年前、気力も体力も充実した青年として、ひりひりと生を感じながら生きていた。今は蓬髪の、病んだ精神のうらぶれた中年男として、町を歩いている。彼は眼をあちこちに動かしながら、浦島太郎の歌を考えていた。
――道に行き交う人々は、名をも知らない者ばかり。
頭に荷物を乗せた女が通る。女学生、小学生が通る。長い釣竿をかついだ男が通る。夕方になったので、磯釣りを終った土地の男だろう。芭蕉、フェニックスが生えている。町を通り抜けると、まただらだら坂となる。高くなるにつれて、風景はいよいよ鮮明に立体化して来る。湾内に小島がいくつか見える。島々のために港の入口がせまい。大きな船は出入り出来ない。しかし水路の複雑さのために、密貿易には好適の港だったのだろう。五郎は足を止めた。そして道から斜面に降りて行く。首を傾けた。
〈たしかここらに松林があった筈だが――〉
あの頃松林の中に、海軍航空用一号アルコールのドラム缶が、三十本ぐらい転がっていた。隠匿されていたのだ。松林なので空からは見えない。ここに来た二、三日後、そのドラム缶のひとつに小さな穴があいていることを、福兵長が発見した。