Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.078 caratteri · 285 schermate

Aozora Bunko

「初めに云いますが、私は滝尾どのと密通したことなどはありません、それは貴方の間違いです」

「よし、云うだけ云ってみろ」

「私は新参者で、酒井家に仕えてからまだ五年あまりにしかなりません」玄四郎の口ぶりは平明で、飾りけがなかった、「御承知のとおり屋敷の中はきびしいので、私は滝尾どののことはまったく知らず、顔を見たこともありませんでした」

彼は向島で初めておみやに会ったときのことを語った。おみやはそのとき、一人の浪人者に捉まり、揉みあっていたが、蹴放されて土堤から転げ落ちた。自分は牛の御前へいった戻りで、すぐに堤の下へおり、おみやのところへ駆けつけた。それで浪人者は諦めたのだろう、堤の上からこっちを見ていたが、待たせてあった、駕籠に乗って、たち去った。

「そんな話しは聞いた覚えがない」と六郎兵衛が云った、「浪人者とはどんな人間だ」

「編笠をかぶっていたし、はなれていたのでよくわかりません、滝尾どのも、いきなり掠われようとした、としか云いませんでしたが」玄四郎はそこで記憶をたどるようにちょっと休み、それから思いだして云った、「――そうです、その男は片腕でした」