Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.078 caratteri · 285 schermate

Aozora Bunko

「うん、よろしい、きれいだ、おまえ気にいったぞ、いったいどこから来た」

「柴田郡です」

「ふん、柴田郡か、――その年だと、もう亭主も子供もあるんだな」

「あればこんな奉公はしていません」

「さよう候か」と七十郎は合点をした、「亭主も子供もなしとすれば、おれとしても考えなければならないが、柴田郡はどの辺だ」

「船岡の在です」

七十郎はふじこを見た。飲みかけた盃を、口のところで止めたまま、訝しそうな眼つきで、じっとふじこを見まもった。

「船岡の在、だと」

「そうです、小坂というところで生れて、去年の暮までずっとそこにいたのです」

「船岡の在」と七十郎は呟いた。

彼は顔をしかめて、三杯ばかり黙って飲み、それからふじこに、飲むか、と訊いた。ふじこは、飲むと用をするのがおっくうになるから、と首を振った。じゃあ飲めるんだな。ええ飲めば飲めますよ、在にいるじぶんにはよく飲みましたから、とふじこは云った。

「おまえ」とやがて七十郎が訊いた、「船岡だとすると、館主の原田を知っているか」

「ええ、知ってます」

「会ったことがあるか」

「ええ、あります」とふじこは頷いた、「江戸からお帰りになると、山の猟小屋へいらっしゃるでしょう、そうするといつも友達といっしょに伺って、お相手をするんです」