Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 148.519 caratteri · 296 schermate

Aozora Bunko

それは、宿老原田甲斐の住居に付属する、長屋の一と棟であった。

三人は部屋へあがった。新八はひどく昂奮していた。顔色もまっ蒼だし、唇も白く乾いて、そうして、絶えずぶるぶると躯をふるわせていた。灯のあかりでそのようすを見て、宇乃はまた自分はしっかりしていなければならない、と思った。

「おうちへ帰ろう」

虎之助がそっと云った。宇乃は弟の背中をさすった。

「おとなしくしていてね」

「おうちへ帰ろう」

「そんなことを云わないの、もうすぐお母さまが迎えにいらっしゃってよ」

「お母さまが来るのか」

「ええ、いらっしゃるわ」

村山喜兵衛は戸口にいた。

虎之助が云った。

「お母さま、ほんとに、迎えに来るのか」

「そうよ、だからおとなしく待ってるのよ」

「泣かないでか」

宇乃は聞き耳をたてた。

戸口にいた村山喜兵衛が、戸口から出ていった。矢崎という侍が戻ったらしい、小屋は狭いので、戸口の外で二人の話すのが、宇乃の耳にもあらまし聞えて来た。宮本新八は立とうとした。彼にも聞えたのか、それとも聞くために出ようとしたのか、立ちかけて、宇乃の顔を見た。

宇乃はそっと首を振った。

新八はそのまま坐った。