Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 148.519 caratteri · 296 schermate
「おやすみあそばせ」とおみやが囁いた。
六郎兵衛と話しをしたのは、それから五日のちのことであった。それまでは起きるとすぐに飲み始め、酔うと出てゆき、帰るとまた飲み、酔っては寝てしまうのである。新八は無視したままだし、妹にも話しかける隙は与えなかった。
五日めの朝、彼は妹に云った、「こちらはどういう人だ」
それは朝食のあとであった。
珍らしく六郎兵衛は酒を飲まなかった。不味そうに茶漬を喰べたあと、茶を啜りながら妹に話しかけたのである。おみやは新八の話しをした。
「簡単に話せ」と六郎兵衛は云った。
おみやは「はい」といった。自分では簡単に話すつもりだったろう、しかしそれは諄くて長かった。
「もっと要点だけにしろ」と六郎兵衛はまた云った。
おみやの話しが終ってから、彼はぼんやりと壁を眺めたまま、ややしばらくなにも云わなかった。それからふと妹を見た。
「おまえでかけないのか」
「ええ、いいんです」とおみやが云った、「なんだか叡山に用があるとかってでかけて、今月いっぱい帰らないんです」
「茶をくれ」と六郎兵衛は云った。
おみやが茶を注ぐと、彼はそれには口をつけず、疲れたような眼で新八を見た。