Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 148.519 caratteri · 296 schermate
酒井侯の言葉こそ藩家の大事であった。涌谷どのは身をふるわせ、息を詰めておられた。酒井侯の言葉は、先夜、吉祥寺橋の普請小屋において、茂庭周防の語ったことと符を合わせるものである。
涌谷どのはじめ、一同たましいも消えるおもいであった。周防は願いを繰り返し、酒井侯は首を横に振った。
酒井侯は平然と、亀千代君の幼弱を盾にとり、もっと年長の者を願い出るように、と繰り返すばかりであった。そこで周防が云った。
周、――六十万石の仕置には後見を立てる法もありましょう、家督を相続する者は、むつの守の実子のほかにはありません。亀千代こそ、故、政宗の正統であって、もし亀千代に家督が許されないとなら、いっそ伊達家をとりつぶして頂きましょう。
酒、――仙台をとりつぶせと。
周、――正統でない者に家督を命ぜられるくらいなら、むしろ六十万石をとりつぶされるほうがましでございます。
周防の言葉には肺腑を刺すおもむきがあった。周防がそういう調子で、それほど思いきったことを云おうとは、涌谷どのも予想しなかったらしい。また、さすがの酒井侯も、拍子五つほどがあいだ、口をつぐまれた。
そのとき久世侯が発言された。