Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 148.519 caratteri · 296 schermate
と周防が云った。
甲斐は立ちあがった、「このままでだ、もう話すことはない」
「いや、まだ話しは済んでいないぞ」
「久馬、いるか」と甲斐が呼んだ。
周防はさっと色を変えた。次の間に誰かいた、ということに気づき、殆んど水をあびせられたような表情で、口をあけて、甲斐を見た。甲斐はまた呼んだ。
「久馬、まいれ」
こんどは答える声がした。ひと間おいた向うで答える声がし、すぐに成瀬久馬が来た。
「袴――」と甲斐が云った。少年はすぐに、次の間から袴を持って来、甲斐がそれをはくのを手伝った。
「眠れたか」と甲斐が訊いた。
久馬は「はい」と答えた。
「うたたねをしておりましたので、お呼びになったのが聞えませんでした」
「聞えなかったか」
「二度めのお声で、やっと眼がさめました」
「そうか」と云って、甲斐は周防を見た。
周防は眼を伏せた。
「舎人に乗物をまわせと云え」
久馬が去ると、周防が眼をあげた。甲斐は刀を取りながら云った。
「床の間の菊はみごとだった」
断章(三)
――涌谷さまはお立ちになりました。
「そうか」
――船岡どのの御内室がいっしょです。
「もう帰ったのか」
――なにかもめごとがあったそうでございます。