Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 148.519 caratteri · 296 schermate
「そうだと思うの」とお久米が云った、「ゆうべあんたがでかけると、すぐにあの人も出ていったわ」
「そして、――」
「帰って来たのは十二時ちかいころよ」とお久米は云った、「まさか女あそびにゆく筈はないし、帰って来てからもようすが変だったわ」
「どんなふうに」
「いつまでも寝ないで、家の中を歩きまわったり、ぶつぶつなにか独り言を云ったり、ずいぶん変なようすだったわ」
「いま、いるのね」
「いる筈よ、あの調子だと朝まで寝なかったかもしれないし、いま静かなのは寝ているのかもしれないわ」
「有難う、いってみるわ」
「みやちゃん」とお久米が囁いた、「あんた、あの人と、できたんでしょ」
「まあ、お久米さんたら」
「とうとうものにしちゃったのね、にくらしい」
「そんなんじゃないのよ、まだ十六のまるっきり子供じゃありませんか」
「隠してもだめ、壁ひとえよ」とお久米はにらんだ、「あたしのほうは旦那も足が遠のくばかりだし、あんたのお兄さんは見向いてもくれないし、よく眠れない晩のつづくときもあるんですからね、あんまり聞かせるのは罪だよ、みやちゃん」
「ずいぶん云うわね」おみやは冷淡に云った、「旱のお百姓は、砂が飛んでも雨だと思うっていうけれど、そんな邪推はあんたらしくないことよ」