Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 148.519 caratteri · 296 schermate

Aozora Bunko

丹三郎は動けなかった。おれは斬られる、ともういちど思った。

だが、そのとき、五人の侍が、こっちへ駆けつけて来た。さっきの仲間が知らせて、そこの武家屋敷から、助勢に来てくれたのであろう。

「伊達家の方はどちらだ」とかれらの一人が呼びかけた。

「私です」と丹三郎が云った、「大事な預け人をかどわかされたのです。向うへゆく駕籠がそれです、どうか御助勢を願います」

「心得た」と云って、五人のうち二人は駕籠のあとを追い、三人はこっちへ来た。かれらは叫んだ。

「われわれは松平隠岐守の家臣だ、助勢するぞ」

六郎兵衛は向き直っていた。彼は刀の柄へかけた手を放し、冷やかに三人を見た。その冷たい眼光と、おちついた隙のない身構えを見て、松平家の三人は、さっと左右にひらいた。

六郎兵衛は事が失敗したのを認めた。

彼は松平家の三人を、一人ずつ順に眺め、それから丹三郎を見た。

「小僧――」と六郎兵衛は云った、「うまくやったな」

丹三郎はまだ刀を青眼につけていた。

六郎兵衛は頭巾のぐあいを直し、両手をふところに入れて、ゆっくりと通りの方へ歩きだした。ゆっくりと、一歩、一歩、ためすような足どりで、ふところ手をしたまま。