Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 148.519 caratteri · 296 schermate
こんなきれいな女と、こんな静かな隠宅を持っているとは、よほど果報めでたい男であろう。自分もあやかりたいものだ、ぜひ近いうちにその八十島と会いたい、屋敷へ遊びに来るように伝えろ。そちらで屋敷へ来なければ、自分の方でまたこの家へ来る。必ずそう申し伝えろ、と云ったそうである。
甲斐はややしばらく黙っていたが、やがて頷いて、「わかった」と云った。
「あなたが伊達家の原田さまと知って、いらっしたのでしょうか」
「どうだかな」
「あたしにはそう思えました」とおくみは云った、「あなたを原田さまと知っていて、なにかわけがあっていらしった、というふうに思えましたわ」
「どうだかな」と甲斐は云った。
「なにか思い当るようなことはないんですか」
「私は酒井侯とはなんのかかわりもない」と甲斐は云った。そのとき、彼の眉間にまた皺がよった、「むろん、ここへ訪ねて来られるような覚えもないし、おくみが心配することは少しもないよ」
「そうでしょうか」
「少し眠らせてくれ」
「でも、こんどいらしったらどうしましょう」
甲斐は答えなかった。
おくみは彼の寝顔を見まもっていたが、やがて、そっと立って出ていった。