Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 148.519 caratteri · 296 schermate

Aozora Bunko

「足もとは大丈夫だ」

「つけてはいけませんか」

「もう少し待とう」

二人は用心しながら歩いた。

注意しなければならないのは、来るときよりも帰るときである、と甲斐は思った。周防のまわりにも見張っている眼があるにちがいない、対談を聞かれる心配はないが、跟けられるおそれは充分にある、甲斐はそう思った。

堀端へ出て曲り、駕籠を待たせてある処へ来ると、そこでややしばらくようすをみた。そして、跟けて来る者のないことをたしかめてから、はじめて、甲斐は駕籠に乗った。

――雅楽頭か。

駕籠の中で彼は眼をつむった。

――これはむずかしいな。

ひどくむずかしい、と甲斐は思った。綱宗の逼塞に、兵部と雅楽頭の連絡のあることはわかっていた。綱宗の遊蕩を、雅楽頭に通じたのは兵部である。綱宗が新吉原へかよい始めて、僅か十日ばかりで雅楽頭から注意があった。酒井邸へ親しくでいりしているのは、兵部だけである。

伊東七十郎は云った。

――僅か八日か九日のことを、どうして酒井侯は知ったんですか、酒井侯は新吉原の目付でもしているんですか。

おそらく、七十郎は局外者だけに、却って兵部の通謀を見やぶることができたのであろう。