Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 117.781 caratteri · 235 schermate
お父さんは、そんなことをいいことのように次郎ちゃんに思わせるのが恐ろしいことだと仰しゃってね。あたし、今日は、ほんとにどうなることかと思ったわ。お父さんが、あんなに真青な顔をしてお祖母さんと言いあいをなさるなんて、全くはじめてですものね。でも、もう大丈夫だわ。お祖母さんも、あとでは、自分が悪かったって、折れていらっしったようだから。」
次郎は、じっと考えこんだ。それから、思い出したように飯をかきこみ、すぐ茶にしたが、
「しかし、春月亭は、まだあれっきりでしょう。」
「ええ、でも、その方はお父さんがご自分で何とかなさるおつもりらしいわ。ひょっとしたら、今夜にでもお出かけになるんじゃないか知ら。」
次郎は、また考えこんだ。すると、お芳はめずらしく感情のこもった声で、
「次郎ちゃんは、もうちっとも心配することないわ。お父さんは、こんなことになるのも、全く自分が悪いからだって仰しゃっているんだから。」
次郎の小鼻がぴくぴくと動き、ちゃぶ台のふちに、大きな涙がはねた。それから、しばらくして。
「僕……僕……」
と、どもるように言って立ち上ったが、両腕で眼をこすり、こすり、座敷に走りこんで行った。