Classici giapponesi con furigana
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かいひんそうのさつじん
海浜荘の殺人
山本 周五郎
Leggi 海浜荘の殺人 (かいひんそうのさつじん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8672 caratteri · 18 schermate
「志津子さん、大変な事があるんですよ」
と側へ坐った。
「今日まで内証にしていたんですが、実は四五日まえから脅迫状を寄来す奴がいるんです。初めは誰かの悪戯だと思ってたんですが」
「一万円出すか、でなければお祖父さまとあたしを殺すって云うんでしょう、――?」
「も、もう御存じなんですか?」
「たった今、荒木さんから聞いたわ」
「荒木が?」
井上一郎はさっと顔色を変えた。――ただ顔色を変えた許りでなく、拳で空を打つ真似をして呻くように、
「そうか、それで分った」と云いながら振返った。
「志津子さん、それで分りましたよ、荒木です。荒木の仕業に違いありません」
「何が荒木さんなの?」
「脅迫状の事を知っているのは僕と久良の二人です。二人だけで何とか善後策を講じようと相談していたので、荒木にも高野にも話してないのです。然も――ですね、然も僕たちの見るところでは、脅迫状の筆跡はたしかに荒木のものらしいんです」
「それがどうしたって云うの?」
「分りきってるじゃア有りませんか、奴は貴女と中村家の財産を狙っていたんですが、迚も駄目だと思ったので一万円脅迫しようとしているんです。――僕たちしか知らぬ事を奴が知っていた、それから筆跡、この二つが証拠です」