Classici giapponesi con furigana
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かいひんそうのさつじん
海浜荘の殺人
山本 周五郎
Leggi 海浜荘の殺人 (かいひんそうのさつじん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8672 caratteri · 18 schermate
四人の客
四人の客
「エル、まだかい」
ベランダから無遠慮に覗きながら、高野千之が声をかけた。鏡台に向って日灼け予防の白粉を塗っていた志津子は吃驚して、
「厭アよ千ちゃん、そんな処から覗いたりして、お化粧してるとこなんか男が見るもんじゃないわ」
「僕は別に構やしないがね、みんな門のとこで待っているぜ」
「先へ行っててよ、あたしお祖父さまに御挨拶してからでなくちゃ行けないわ。――それからねえ千ちゃん、あたしをエルって呼ばないで頂戴」
「承知致しました、エル」
「あたしを嘲弄うの?」
志津子は屹と振返った。――高野千之は苦笑しながら、
「僕が呼ぶとそんなに気に障るのかい。みんなそう呼んでいるじゃないか」
「誰にも呼んで貰いたくないの、亡くなった父さまだけよ、あたしをエルって呼べる人は。……父さまは良い方だったわ、あたしが母さまに似ているので、彼女のようだという意味から仏蘭西語で、『彼女』と呼んだんだわ。あたし母さまとは小さい時死別れたのでお顔を覚えていないけれど、父さまからエルや――って呼ばれる時には、あたしの中に母さまが生きているような気持になったものだわ」
「御免よ、しいちゃん」