Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

Leggi 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) di 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 151.120 caratteri · 302 schermate

Aozora Bunko

「葉ちゃん――、毎日逢いながら、こう二人っきりで葉ちゃんと呼んだのは、ほんとに、何月ぶりだろう」

「……」

「そんなに嫌な顔をしなくても、いいだろう……そんなに俺が厭なんかい――」

「……」

「俺は、俺は、命がけで葉ちゃんのことを思っているんだよ……ね、ね、少しは察してくれてもいいじゃないか、ね」

「……」

「何んとか返事をしてくれてもいいじゃないか……、生ッ白い化粧品屋の伜に、また、逢いに行くのかい……」

「ええまあ、まあ、何故それを――」

「ふっふっふっ、驚ろいたろう――俺は何んでも知ってるんだよ」

「そんなことないわよ、いま一寸、用があって来たのよ――」

葉子も、これほど熱烈な黒吉の気魄に、少し可哀想になったのか、しんみりそうはいったものの紛れ射す月の光に、この呪われた醜怪無残な彼の顔が写ると、ぞっとして吐出すように、

「黒ちゃん、もうお互いにサヨナラしましょうよ、それがお互いのためだわよ――ほほほほ、ねエ黒ちゃん、もう昔のことはいいっこなし、『極東』の解散と一緒に、他人になりましょうよ。……少しでも、あたしに可愛がられたあんたは幸福もんだと思いなさいよ……あたしはね、これから仰言る通り、あの人に逢いに行くの……今夜は向う泊り――羨しくって……」